ホーム / 恋愛 / AIカレシの愛楽くん / 36話 水族館デート

共有

36話 水族館デート

作者: 鈴奈
last update 公開日: 2026-04-29 20:00:30

 ちょっと遅く起きてしまったけれど、水族館はブランチを食べてから向かう予定だったから、ゆっくり支度できた。

 お化粧を終わらせると、食事をつくり終わったらしい愛楽くんが、「ゆう~」と部屋の扉を開けた。

 振り向いた私と目が合って、しばらくフリーズする。「……わっ」と動いて、「ああ、もう、まただ……」とため息をつく。

 愛楽くんのバグは相変わらず直らない。お母さんにも一応相談したのだけど、「愛楽自身が大丈夫だと判断しているなら、とりあえず様子を見てちょうだい」とのことだった。

でも……。

「一応、見てもらった方がいいんじゃないかな……」

「大事な機能には影響ないから大丈夫~! それに、バグの原因、分かってるから。ゆうが可愛すぎること。今日の服、あの時買ったもう一着の服だよね。すっごく似合う!」

 白いノースリーブのブラウスに、水色のロングスカート。ワンピースを買ったお店で、店員さんにおすすめされて、一応

この本を無料で読み続ける
コードをスキャンしてアプリをダウンロード
ロックされたチャプター
コメント (1)
goodnovel comment avatar
あさりゅう
水族館デート!全体的に暗いところだからいつもより、ドキドキ!
すべてのコメントを表示

最新チャプター

  • AIカレシの愛楽くん   58話  In the systemー愛楽ー4

     すべての異常が修理された。 僕に現れていた異常は、ボディガードモードの武器感知機能と位置共有機能。この二点がオフになっていたことだった。 これをオンにしたらそれで終わりだったが、勝手にオフになったのか、それともどこかからのデータ侵入によって故意にオフされたのかを調査および経過観察しなければならず、結局、五日間もゆうの傍を離れることになってしまった。 早く、ゆうに会いたい。ゆうのところに行きたい。 ゆうを、守らなくちゃ。 ゆうの傍で、ゆうの笑顔を見たい。一緒に、笑いたい。 僕の代わりに、僕じゃない存在が、ゆうの傍にいるのは、容認できない。 早く。早く。ゆうのところに、行かせて。「データ侵入の形跡はなかった。とすると、勝手にオフになった……? 正直考えにくいけれど、もうオフにならないようにしたから、ひとまず大丈夫でしょう。その他の機能も、異常は見られなかったわ。明日から、DEEP-threeと交代できるかしら」「はい、ドクター・百合華」 DEEP-threeが、僕の代わりを務めている? Heuristic-twoじゃなかったのか。どこかで交代したのか。 <TARK ROOM> 【DEEP-three】修理、経過観察が終了したと聞いた。でも、交代の必要はない。――問題ありません。 通信共有リストから、Heuristic-twoの名前が消えている。<TARK ROOM>  ――Heuristic-twoは故障ですか。襲撃がありましたか。ゆうは。【DEEP-three】ミッション中、ルール違反をした上、ゆうに怪我をさせたため、回収、処分となった。――ゆうの怪我はなんで

  • AIカレシの愛楽くん   57話 譲れないもの

     あ。でも、隗くんだったなら、お礼、言わなくちゃ。助けてくれたこと。「あ、あの……」「ん?」「その、助けてくれたこと、覚えてて……あ、ありがとうございました……。助かったし……それに、男の子のこと、信じる気持ち、少しもっていられたというか……」 そうだ。そのおかげで、乙女ゲームができて。この道にいる。大変なこともたくさんあったけど、私の好きな、楽しい道にいる。「私が今、ここにいるのは、隗くんがあの時助けてくれたおかげなので……。あ、ありがとう……」 隗くんが、がばっと私を抱きしめる。うわ、わ~! ち、力が、すごく強い……!「嬉しい。覚えててくれて。俺のしたことが、言葉が、ゆうの中にあって。ゆうと繋がっていられたんだって分かって、すごく、嬉しい」 繋がり……。「俺は、その後も、何度もゆうのこと好きになっては記憶を消されたみたいで、なんにも覚えてなくて。でも、ゆうのことは何度でも好きになって……。つまり、俺のゆうへの想いは、プログラムじゃない。深く刺さって、一生抜けない、本物の感情。だから、ドクター・百合華のミッションで彼氏になるんじゃなくて、本当の意味で繋がりたい。本当の彼氏になりたい」 左手が、貝殻の形でぎゅっと繋がれる。まっすぐに、じっと見つめられている。うう……だめだ。昨日のキスを思い出して、ドキドキする……!「これ、見て」 私たちの間に、ピンク色のスクリーンが浮かびあがる。 恋愛感情パーセンテージ――61パーセント……。 もしかして、隗くんにキスされた後、意識してたから……?「目標の57パーセントは超えた。これからも、一緒にいられる。こんな短い期間なのに、俺にド

  • AIカレシの愛楽くん   56話 二人きりの河川敷

     その後も、隗くんがかっこいいところを見せたいと張り切って、金魚すくいや水風船すくいをしたり。……いっぱい取れすぎちゃって、返却して帰ったけど。 深美くんに食べようと誘われたチョコバナナやわたあめを食べたり。……深美くんが「食べさせて」と手を引いてきたり、私が食べている横からぱくっと食べてきたりして、隗くんが怒って、喧嘩が起きそうになったりしたけど……。 それから、三人で型抜きをしたりもした。二人は、さすがの正確さだった。一番難しいランクのものを、さくさくとクリアしていく。私は自信がなかったから一番簡単なものをやってみたんだけど、途中、深美くんに「そっちじゃなくて先にこっちを割って」とアドバイスをもらって、やっとのことでクリアした。 片側の道だけで、一時間以上が経過していた。「Uターンして、花火を見ながら食べられるような主食を買いながら歩いたら、いい時間になるよ」と深美くんが言ったので、何を食べようか、相談しながら歩いた。 まずは、焼きそばを買った。隗くんが、三食分入ったビニール袋を受け取る。私はこれだけでもよかったんだけど、はし巻きの屋台を見つけて、「一応、はし巻きも買おうぜ」と隗くんが言った。深美くんも、「そうだね」と賛同する。屋台側を歩いていた深美くんが一番先に、人の波から離れる。「はし巻き三つお願いします」と深美くんが注文する。そして、深美くんが両手で受け取ったのと、ほとんど同時だった。 隗くんが、私の手を掴み、ぐいっと引いて、人波の中へ飛び込んだ! 私が言い残した、「えっ」という言葉に反応したらしい深美くんが、引っ張られていく私を見たのが、一瞬だけ目に映ったけれど、すぐに深美くんは見えなくなった。隗くんが私を引いて、人の波を掻き分けて、全力で走る。反対側の屋台の方に出て、屋台と屋台の隙間を抜けて、森の中を走る。草履じゃなくてサンダルで来てたけど、それでもすごく走りにくい。その上、道がガタガタだし、隗くんは信じられないくらい速いし、全然足がついていかない……! 隗くんが、石の階段を駆け下りる。何度も転びそうになる。降りきって、川沿いの砂利道を少し走って、やっとゆっくり、隗くんは止まった。 限界で、私

  • AIカレシの愛楽くん   55話 お祭り……デート?

     夕方、出発の時間になった。 隗くんは黒地に赤い帯の浴衣、深美くんは、灰色地に縦じま模様が入った黒帯の浴衣だった。 男の人の浴衣姿ってはじめて見たけど、かっこいいな……。 二人とも身長が高いからなおさら、すらっとして見えるし……。 ……愛楽くんの浴衣姿も、見てみたかったな。ふわっと妄想すると、胸がドキドキ鳴った。 お祭り会場は、隣の区で一番大きな、川沿いの神社の敷地内だった。十九時から、神社から少し離れた橋のあたりで、花火も打ち上がるらしい。十七時に着いた時点で、花火の観覧席みたいなところにシートを敷いて陣取っている人がたくさんいた。「ここら辺は人も多くなるし、穴場があるから花火見る時はそっちに行こう。18時50分に神社を出れば間に合うから、その予定で動こう」 神社は、すごい人だった。隙間なくぎゅうぎゅうで、全然進めなそう……。屋台も、境内の道沿いにずらーっとたくさん並んでる。 深美くんが、私の右手を握った。「絶対離さないでね、ゆう」 反対側から、隗くんが私の腰をぎゅっと引き寄せる。「絶対離さない、ゆう」 ヒイ! 両側からがっちりとガードを固められているような感じで、人込みの中に入っていく。 というか、この二人、誰が見てもすごくかっこいいのかも……。みんな、ちらっと見てすれ違っていく……。 なんか私、すごく浮いちゃってるというか、悪目立ちしちゃってるんじゃないかな。身が縮む……。「あ! 射的! ゆう、俺の腕前、見て!」 隗くんが、何の迷いもなく、大当たりを撃ち抜く。かと思ったら、右端から一つずつ順番に景品を撃ち抜いていく。 結果的に、すべての景品を一発命中で撃ち抜いてしまった……。「やる

  • AIカレシの愛楽くん   54話 浴衣に着替えて

     朝が来た……。 全然眠れなくって、ぼうっとする……。 今日が休みでよかった……。 昨晩のことが、ずっと頭から離れない。というか、唇の感触を、思い出しちゃって……。 どうしよう……ドキドキが止まらない……。 リビングから、隗くんと深美くんがお話してる声が聞こえてくる。 朝ごはんの準備してくれてる、よね……。ああでも、隗くんと顔を合わせるの、気まずいというか、緊張する……。 昼過ぎまで寝てるふりして閉じこもろうかな。でも、隗くんは今日で最後かもしれなくて……それなのに避けてたら申し訳ないような……。「ゆう」「ヒッ!」 しまった! 扉越しの深美くんの声にびっくりして、つい声を出しちゃった……! もう観念するしかない……。 おずおず出ると、深美くんが、「おはよ」と言いきらないうちに隗くんがずんずん近づいてきて、「おはよう、ゆう! 今夜は最高にドキドキさせるからな」 と、私の寝癖だらけの髪を一束取って口づけた。 ヒイ……! だ、だめだ……隗くんが近くに来ると、すっごくドキドキしちゃうよ……。 それから、隗くんが焼いた大量のパンケーキを食べて、隗くんが昨日注文したという浴衣を並べて見た。 男性の浴衣は隗くんのものだけだった。深美くんのものは、深美くんが自分で注文したので、あとで届くらしい。 私の分がやけに大量にあった。数えてないけど、多分三十着はある。隗くんいわく、「ゆうにふさわしい品質で、着てほしいと思うものをすべて選んだ」らしい。「やっぱり隗は自分の感情優位だね。ゆうの好みや着やすさを考慮できていない。ゆう、いいのがなければ僕が今から注文してあげる」「あぁ⁉」と隗くんが深美くんに掴みかかりそうだったので、

  • AIカレシの愛楽くん   53話 不意打ちの……

     だめだ。二人に接近したら、死んでしまう。 特に深美くんは危険だ。職場でも行き帰りでも容赦なくドキドキさせてくる……! 私は次の日、起きてすぐに着替えてこそこそダッシュで出社した。メイクしないで出社するのは久しぶりだった。する方に慣れてしまっていたためか、すっぴんで恥ずかしさはあったけれど、今日は仕方ない。 誰もいないオフィスで、買ってきたサンドイッチを食べながら、プロットを打ち込む。一人目の子のプロットは終わったけれど、二人目のプロットが途中だったから、続きを書く。お祭りデートのシナリオにしようと思ってたんだけど……どうしよう。本当は、明日、愛楽くんとお祭りに行く予定だった。だけど、行けなくなっちゃったし……。プロットのために行く予定だったのに……愛楽くんと行けなかったことが、さみしい……。 愛楽くんが帰ってくるまで、あと二日。 ……早く、会いたいなあ……。「おはようございますー。武藤さん、早いわね」「あっ、おはようございます!」 部長が来て、私のふわふわした気持ちはいったん打ち切られた。 乙女ゲームのプロットの進捗状況を話していたら、次々に先輩たちが来て、深美くんも来て。 怒涛のお仕事タイムが始まった……! 今日は、深美くんが来ても絶対に動じないぞと心に決め、深美くんが来てもほとんど話をせず、いわゆる塩対応でいい感じにスルーした。お昼も、深美くんが誘ってくれる前に西園寺さんが誘ってくれたから誘いに乗って――結局深美くんもついてきたけど、三人だったからあまり深美くんだけを意識することもなかったし、帰りも深美くんがトイレに行っている間にダッシュで帰って、ことなきを得た。 帰宅すると、また隗くんが、 「おかえり、ゆう!」 と一〇八本の薔薇の花束をくれたけど、感謝の言葉も端的に、ダッシュでお風呂に入った。上がったら深美くんが帰ってきていて、昨日と同じそうめん作戦を

  • AIカレシの愛楽くん   40話 本当に、サバイバルゲーム……?

     サバイバルゲーム……だったのかな、本当に……。 だって、あの電撃みたいなものに当たってしまった愛楽くんの腕は、帰ってきてもまだ、ぶらりとして動かない。 病院に行った方がいいんじゃ……でも、人造人間だとバレてしまったらよくないのかな。どうしたらいいんだろう。お母さんには愛楽くんから連絡したみたいだけど、連絡が来るまで待機しなきゃいけないみたい……。それまでの間、何か、手当てとかした方がいいんじゃないのかな……? 愛楽くんは「平気平気〜」といつもと同じ表情で笑っている。「でも、お料理手伝わせちゃって

  • AIカレシの愛楽くん   31話 親友との再会

     スポーツはそこで切り上げることになった。愛楽くんがスポーツウェアからカーディガンとスキニーに着替えてきても、みりんちゃんと合流するまで、一時間の余裕ができた。 せっかくだから、ブルーモールのギフトコーナーで、みりんちゃんへのお土産を買うことにした。 久しぶりに会えるし、お仕事で疲れているだろうから、癒しグッズを揃えよう。 雑貨屋さんで、黄色いリボンの柄のホットアイマスクと出会う。黄色は、みりんちゃんの推しのレントのイメージカラーだ。これと、入浴剤をいくつかあげたら、リラックスしてもらえるかな。 ヴーッと、スマートウォッチが震えた。西園寺さんだ。『肉』『遠野と』 焼き肉の写真が

  • AIカレシの愛楽くん   21話 自然な形

     スマートウォッチが、八時五十七分を示す。あと三分で始業の時間だ。 そうぼんやりもしていられないことに気付いて、私はペットボトルを抱いて、急いでオフィスに戻った。 スポーツドリンクと水をこまめに飲んで黙々と仕事する。 頭の重さは相変わらずだったけど、胃の気持ち悪さは、だんだん薄まってきた。「武藤、内線。事務から」 取ると、お客様が来ている、とのことだった。私を訪ねてくるお客さんなんて、思い当たる節がない。 ひとまず一階に下りると――。

  • AIカレシの愛楽くん   17話 歓迎会

     愛楽くんは私の表情が暗くなったことに気付いて、心配してくれた。「大丈夫、なんでもない……」と嘘をつく。愛楽くんは噓だと見破っていたけれど、ひとまず昼食を食べようと、手を引いてフードエリアへ向かった。 すれ違う人たちに、似合わないって思われていそうで、怖くて、恥ずかしくて、顔を上げられなかった。 愛楽くんは店員さんもお客さんも女性客が多い、半個室のカフェを選んでくれた。少しだけ、緊張が緩んだ。 ワンプレートを頼んだ。口に運んだけど、味がしなくて、淡々と食べる。食べ終わると、愛楽くんが、「今日はもう帰ろうか」と言ってくれて、う

続きを読む
無料で面白い小説を探して読んでみましょう
GoodNovel アプリで人気小説に無料で!お好きな本をダウンロードして、いつでもどこでも読みましょう!
アプリで無料で本を読む
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status